建前

実家に帰ってきてからもうすぐで1ヶ月が経つ。金曜と土曜は弟と夜に映画を観ることが恒例になった。

今週も映画を観た。この間までランドセルを背負っていたのに中学生もそれなりに様になってきた。さすが成長期、1年で声もどんどん低くなる。1年前の写真を見てとても幼く感じたりする。力も強くなってすっかり敵わなくなってしまった。弟がまだ小さい頃の私は「男の子は中学生くらいになったらほとんどお姉ちゃんとは口利いてくれなくなっちゃうのかな…」なんて思っていた。だけどそんなことなかった。恥ずかしがり屋で照れを隠すのが下手な弟なりに嬉しい言葉や優しい言葉をくれる。「大好き」とは言わないけど家の中ではいつも私を探してるし必ず私の隣に座ってくるし、お互い小さい頃と変わらないくらいバカなことして笑っている。私も弟にベタベタだし弟も私にベタベタだと思う。「まーくんさ、お姉ちゃんのことが大好きなのは分かるんだけど(渾身のボケ)シスコンは女の子からモテないので気をつけなね?」ってふざけてる感じで言ったら「はー?シスコンじゃねーし、〇〇〇は俺のお姉ちゃんじゃないよ?……友達だよ〜?お前は親友!」って弟らしい返答をくれた。「だよな〜」って言って肩を組んだ。弟と散歩に行ったり外で遊んだり映画観たりしていると「頑張ろうな」って思う。一緒に居ると笑わせたくなる。笑っていてほしいし、弟に降りかかる理不尽がなるべく少なくありますようにと思う。守りたいと思う。持って生まれたものになるべくこの子が苦しむことなく生きていけていけますようにと思う。私がいつでも力になってあげたい、導いてあげたい。誰にも言えないことも私にだけは言えるような、そんな親友みたいなお姉ちゃんでずっと居てあげたい。いられますように。いま弟が過ごしているこの時期は人生においてとても大切で重要だったと今になって思う。

 

 

ひとりで悩まないでね。お姉ちゃんはそれでたくさん後悔をしたから、きみが要らない後悔をしてしまわないように今私が教えられることや伝えられることは全力で伝えたいと思う。ひとりで泣かないでほしい。好きなように生きていてほしい。お姉ちゃんはいつだってきみの心を尊重しているよ。これから先きみにも私にもたくさんの困難や壁があると思う。だけど自分の心を信じて自分に正直に生きれたらいいと思う。そのために今、分からないことがあったらなるべく聞いて相談してほしいと思う。誰でもいいから話したいと思った人に相談してね。お姉ちゃんはずっとその中のひとりでいられたらいいなと思っています。人は変わりゆく生き物だけどその中にもずっと変わらないものがあると思う。そういうものをずっと大切にして、きみらしくのびのびと生きていってほしいとお姉ちゃんは祈っています。お姉ちゃんのいつまでも子供っぽいところや不器用さはきっときみの心に寄り添うためにあるのかも。大きくなっても仲良しでいようね。明日は何しようか!

 

 

 

 

今日はお父さんの仕事場に遊びに行った。遊びというかお祝い。もうあまり馴染みのない文化なのかも知れないけど、家を建てるときに家の骨組みが完成した後に【建前】と言って、その家の人と大工さんが中心となって近所の人とか親戚とかを呼んでお祝いの儀式みたいなことを行う。【上棟式】とも呼ぶらしい。基礎と骨組みが完成した家に旗とか竹とか飾り(多分なんらかの意味はあると思う)を着けて上から餅とかお菓子とかお金を撒くお祝いで、前日にお父さんにそれに誘われてて弟が一緒に行きたがっていたので2人で行ってきた。お餅やお菓子やカップラーメンが投げられるのだけれど家に帰った後に開けたらお菓子のほとんどは袋の中でボロボロになっていた。コアラのマーチでさえボロボロになってた。こういう行事って子供ファーストなのに控えめな弟は隣にいたおばさんに遠慮してたったの3個しか拾えてなくて血筋を感じた。私は中学の時のソフトボール部の血が騒いでそれなりに取れた。向いている。落ちてくるものに対して自然と落下点に入ってしまう癖があるんだと思う。さすが田舎、当家の親戚に中学の時の同級生が居て気まずかった。まぁ、建ててる家の苗字を聞いた時からうっすら不安はあったのだけどそれは弟の誘いを断る理由にはならなかったので行くことにした。あと、そもそも気づかれないかもとも思ったし。建前に行くのは本当に久々だったから忘れてたけどまぁまぁ人が来るんだよなこれ。普通に40人くらい居たのかな。大人も子供もめっちゃ居た。弟と私で隅の方でくっついて陰キャ発動していた。そして案の定旧友に見つかった。ママになっていた。まだそれほど話しにくい旧友じゃなかったしかわいい子供を2人も連れていたから気まずい空気にならずになんとか間が持った。旧友の1歳半と2歳半の年子姉妹の紹介の後、私は隣にいる11歳下の中1の弟を紹介した。みんなぞくぞくとママやパパになるなあ。自分のそんな未来は全く想像がつかないな。2番目の妹にも結婚したいと思う人がいて今年中には同棲するらしい。2年以内に結婚するつもりらしい。しっかりしてて良い人だから私は超賛成。家のことあんまり考えられなくてごめんって言うけどきみにとって大事な事だからいいんだよ。人生においての大きな決断だし、そんな時にまで家に振り回されないで。したいように生きていってほしい。家族みんなの心を尊重してたい。

 

 

 

父の現場に訪れた事自体が幼い頃ぶりだった。父の建てた立派な骨組みを見て父の凄さを実感した。素敵な家を建てるだろうな。近年はあっという間に家や建物が建つようになったけど、父のような職人と言われる人たちの技術への需要はまだまだあるのだなと思った。父の背中は私にはまだまだ大きくみえた。大工の娘として育ったけど今思えば良い事ばっかりだった気がしてきた。家のどこかが壊れれば全部父が治してくれたし私たちの成長に伴って家をリフォームしてくれたり増築してくれたり。いまこの休職で実家に帰ってきて事務作業を頼まれること(母と会話すると喧嘩になるので私に頼む父、父は字が下手なので領収書などを自分で書かない)と母にもらえない材料費など(お財布管理が母なので)を私のバイト代を渡さなくてはいけなかったことくらいしか悪いことはなかった。親の偉大さと尊敬できないところ。お酒は飲み過ぎないでね。お母さんがしたことでショックや戸惑いを受けた時もあったと思う。2人の仲は多分もう修復できないと思うけど私が2人の間に立ってほんの少しずつでも良くしていけたらいいな。いつもありがとう。小さい頃の夢リストにはちゃんと「お父さんのような建築士」があったよ。好きな人のラジオを聴きながらそんなことを思った。

 

 

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