もう誰にも死んでほしくない

悲しい報せを受けて、どれくらいの時間泣いていたか、気づけばソファで項垂れて地面と平行の世界を見つめていた。

そうしていると部屋の扉が開いて愛猫がお気に入りのおもちゃをくわえてトコトコとやって来て「遊んで」と言わんばかりに私の顔の前にポトンと置いた。

私はそのおもちゃを手に取って起き上がり、軽快におもちゃを揺さぶって見せた、ノリノリな猫がかわいくてつい熱が入る。

大きく体ごと動いた時、エアコンの風が当たって頬で涙が冷えていくのを感じた。

わたしは猫がかわいくて笑っていた。

 

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何故だかわからないけど「救えなかった」と思った。彼女のSNSをフォローしていた。コメントはしたことはなかったけどテレビでももちろん拝見していたし、YouTubeをたまに観たりしていて「家族みんなで元気でいてほしいな」と思っていた。あの家族が好きだった。彼女の人生や最期に口を出すつもりは全くない。だけど言葉にせずにはいられなかったからここに。

あえて見ていないけどSNSにはきっと憶測や知ったような口を聞く奴がうじゃうじゃいるんだろう。早く気づいてくれ。

生きてていい命が、生きるべき命が、なぜこんなにも人がいて、自ら消えなくてはいけないのか。

人はそこまで強くならなくてはいけないか。

人は無力だ。どこまでも無力だ。

すべては曖昧の中にある。渦の中にある。

息子の誕生日に死なざるを得なかった彼女の気持ちをお前も私もこのまま一生わからずに生きていくのだ。

考えてほしい。たくさん考えてほしい。

残された私達が思いや考えを巡らすことは、戻ってこない彼らへの一縷の望みにはならぬだろうか。僅かながらの弔いにはなれぬだろうか。

 

綺麗な人だった。