わたしはどうしたらいい

わたしはどうしたらいい

仕事と嘘をついて男と遊びに行く母と

呑んだくれの父に囲まれて

 

母を殺したくなるときと母親だった頃の母が恋しくなる夜にどうしたらいい

 

何も悪くない弟や妹を私はどう守ればいい

 

 

うちは共働きではあるが、母が稼いだ金はほぼ男との交際費に渡っているのだろう。家に今晩のおかずになりそうなものがないときでも、母は決して買い物に行かない。私が感じる限り、母には毎月ばっと出るお金があると思う。例えばその男を養っていてその男の生活費まで賄ってやってるとか。去年の5月ごろにその物的証拠となる、母の名前で登録された知らないアパートの水道料金の領収書を見てしまったことがあった。母はそれでも、私や祖母の問いかけにしらを切り続けた。苦し紛れもいいところで、否定しようのない事実がそこにあるのに「知らない」の一点張りだった。怒りや虚しさや悲しみを通り越したところにある静かさを覚えた。辟易し、とにかく全てに疲れてしまった。

 

私が実家に帰ってきてから8ヶ月が経とうとしていて、母に何か感じ取ってほしいと思って率先して家事をしていたが、そんな思いも虚しく、今では母はほぼ一切の家事をしなくなってしまった。むしろ母が遊ぶのに好都合となった。まだ中学生の子供がいるのにご飯も作らず平気で嘘をつき男と遊びに出かけていってしまえるのだった。家事の放棄といっても過言ではないだろう。いつしか私は母に何かを頼むのもとても嫌になった。何かを頼むと、一言目には「えー」とか言って面倒がって、分かっていても私はそう言われるとこんな人を頼りにした自分がバカだったと思うのだった。分かっていても毎回傷ついた。だからだんだん頼むこともできなくなって私がひとりで家事をこなすようになった。とにかく私たちに金を使わない母に代わって、父に私が言ってお金をもらって買い物に行くのだが、そうなると父も母が全く出していないのに薄々気づいているようで私が「買い物に行くからお金を下さい」と言うと「今日はお母さんにもらって」とか言うことがあって、でもそれは無理ない話だと私は思ってて、じゃあお母さんはいったい稼いだ金を何につかってんの?ってなるよね。そう父に言われてしまうと私はもう何も言えなくなってしまう。元々誰かに何かをお願いするのは苦手だし、ましてやお金のことを言うのは心苦しく、早くその空間から逃げたいという思いが先行してしまうことが増えた。そうなると私の頼りない貯金とバイト代から賄うしかなくなった。正直バイト代は手元にはほとんど残らず、生きているだけでかかるお金と毎週の病院代に充てるので精一杯になった。

 

明らかにいつものとは違う派手な下着を畳むとき私がどんな気持ちになるか考えたことある?

男にもらったクリスマスプレゼントを隠さず居間に置いておいて私たちの目はもうどうでもいい?

もう私たちはどうでもいい?

 

祖母が私たちを想って母にちゃんとしろって内容の電話をときたましてくれるのだけど、その話の中で母が「ゆくゆくは出ていくつもりでいる」と言っているらしい。もうその言葉が出たのは半年くらい前のことだけど、そんなことは容易に予想はついていたけど私はなんとなく母は直接言葉にできないと思っていた。もう私の知っている母はいない。

 

 

神様、ご先祖様、どうか私たちをお守りください

そうやって毎朝仏壇に手を合わせるのだった。

明るい世界よ、私に死にたいと思わせてくれ、死にはしないで戻ってくるから、少しの間だけ死ぬつもりで居させてくれ

 

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