帰郷の夕焼け

6月16日、今日はたくさん歩いた。朝5時に起きて電車で1時間半かけてより専門的なお医者さんがいる病院に出向いた。前から行ってる病院が大学病院で予約がいつも先になる。次は8月。だからその間に違うお医者さんにも診てもらってなにか手立てを考えてもらおうと思った。どこも言うことが同じだとしても行ってみる価値はあると思った。3回乗り換えて、乗り換えは少ない方がいいとしみじみ思った。知らない街は良いですね。次は21日。これから通うなんて、遠くて交通費が嵩むね。そろそろほんとに病院代ばかにならない。計算したくない。初診料怖い。サイトを見てお目当ての先生が今日いるから行ったのになんか見方が間違ってたみたいで今日は居なくて結局お目当ての先生には診てもらえなかった。けど今日の先生も手の専門らしいので一応診てもらった。どのお医者も口々に言うけど私のこの病気はまぁまぁ難しい病気らしい。ここまで症状に苦しんでいる人はあまりいないらしい。診断するのも難しいし手術も難しいらしい。今日の先生は「手術でさっぱり治るとも言えなくて、なるべくなら手術はしたくないな」と言っていた。大学病院で何人か同じ患者いると思ってたけど私だけらしくて「もう少しポピュラーだと思っていたけどそうなんだ」と思った。

13日に病院で診断書をもらって、次の日に会社に提出した。7月31日まで休職することになった。帰り道、肩の荷が少し降りたような気がした。「御迷惑をおかけします…」とは言ったものの、部屋を出て家へと歩みを進めているうちに、ずっと強張っていた体の力がだんだんと抜けてきて安堵に近い気持ちになっていくようだった。

12日には久々に妹と遊んだ。いつまでも不安定な心がこの日もどうしようもなく愚図ついていた。そのせいで妹を困らせてしまった。日曜の下北沢の道端でいきなり泣き喚いて座り込んでしまった。空は雨が上がって晴れたというのに。妹はこの週末に彼氏とディズニーにいくらしい。その服を買いに来たのに手を焼かせてしまって申し訳なかった。泣き止んだ後は謝罪の意もあって妹の服選びに注力した。妹は私がしっかりしない分しっかりしていてすごい。姉としてはほんと情けないことなんだけど。こんな情けない姉を咎めないでくれる。許容してくれる。向き合ってくれる。自分のことのように悩んで悲しんでくれた。憐れな姉を可哀想だと思う気持ちからだとしても、嘘だとしても「ありがとう」と思った。休職を考えていることも初めて人に打ち明けられた。妹は背中を押してくれた。そして私は休職した。体感一年くらい会ってなかった妹にも会った。下北沢で働いている。連絡を取るのが疎かになりがちな妹だから会えて元気そうですこし安心した。あなたは流されやすいのだからもうちょっとちゃんとしないとお姉ちゃんは心配ですよ。

少し時間が空いて19日の朝です。通っていた大学病院から専門医のいる病院に通うことになり、実家から通うのと家から通うのに時間がさほど変わらないので実家から通院することにしました。それで昨日実家に帰ってきました。実家の状態は相変わらずです。いつも助手席に座って帰るけどなんとなく助手席には座れなくて、バックミラーに映るお母さんしか見れなかった。目が合うとなぜかすぐそらしてしまう。家に着くと猫と弟が出迎えてくれた。実家に居て感じることは父と母がもう修復不可能なこと。母の徹底した父への嫌悪感。会話は前よりほとんどなくなって、冷蔵庫に付箋で父への連絡事項が貼り付けられていました。明らかに家事が疎かになっていること。空々しい言葉はすぐわかる。今日から毎日母が疎かにしている分を私がやる。もしそれで何か少しでも母が感じてくれたら嬉しい。なにも感じなくても家が綺麗になったら少しはみんな気分がよくなると思うし。父が温泉に行こうと言ってくれた。ほんとに行けるかわかんないけど、言ってくれただけで私は嬉しかった。昨夜、中学時代の先生に怒られている夢を見た。夢占いをしたら「母親への畏怖や反発」って出てきて驚いた。夢占いってほんとなのかな。少なくとも現状の気持ちだけは当ててくる。向こうにいるときは実家を帰る場所だと思えなかったけどおばあちゃんが説得してくれて帰ろうと思えた。おばあちゃんは私が居ないところで母が私に対して思っていることや言ってることを教えてくれた。ショックだったけどおばあちゃんはそれをおかしいって怒ってくれた。まだこの世界には私のためを思って怒ってくれる人が居るんだ。おばあちゃんは「クヨクヨしてても何も変わらないんだから前進あるのみだよ、頑張れ、力になれないかもしれないけどいつでも電話してね」って言ってくれた。嬉しかった。まだ1日目だからこんな悠長なことを言っているのかも、苦しくなったら普通に家出しよ。「夕焼け綺麗だから見て」って弟が言って何枚も写真を撮った。私が帰ってきてくれて嬉しいって。帰ってきたら良いことあったね。がんばろうね。